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「明日は虚無の曜日とか言って休みだってな。」 あれから数日がたったある日、ポルナレフが唐突に切り出した。 「そうね…て、なんであんた知ってんの?」 「ギーシュが言っていた。明日の虚無の曜日にモンモランシーとか言う小娘と街に行くとかな。」 (あれ?あいつ昨日ケティと仲良さ気に喋ってなかったっけ? さてはまた…) ルイズは昨日目撃したことを思いだし、ギーシュにまたあの不幸が起きないよう心の中で祈った。 「で、お前明日用事あるか?」 ルイズは少し考えて 「特に無かったと思うけど…」 と答えた。 「ちょうどいい。なら、明日その街に案内してくれ。」 「ハァ!?」 ルイズは素っ頓狂な声を上げた。 「何であんたの為にせっかくの休日を潰さなくちゃならないのよ!ギーシュ達に案内してもらいなさいよ!」 「男女の恋路を邪魔するのは無粋だ。」 ポルナレフが意外と真面目な事を言う。 「じゃあ今まで決闘してきた相手は?一人一人当たっていけば…」 「ギーシュ以外、誰も目を合わせようとすらせん。」 今度はちょっと淋しそうに言った。変に寂しがり屋らしい。 「…」 「だからお前しかいないんだ。頼む。」 ポルナレフが手を合わせて懇願した。 「…分かったわよ。しょうがないわね。」 ルイズがやれやれといった感じで言った。 「で、何しに行くの?買い物?」 「そうだ。」 ポルナレフが首を縦に振る。 「お金は?」 「ある。世話にはならん。」 「ふーん…」 何も知らないルイズは、どうせ厨房の手伝いかなんかで貰ったんだろうと思った。 その次の日の朝、学院から二人は馬に乗って出発した。 ポルナレフは馬に乗ったことは無いが、ラクダには乗ったことがある。 ラクダの方がよっぽどよく揺れる(らしい)のでポルナレフは馬に乗ってもさしたる苦痛は無かった。 「街まで馬で片道3時間だったか?」 ポルナレフはルイズの方を向いて尋ねた。 「ええそうよ。…てあんた何で知ってるの?」 「メイドのシエスタという娘に聞いた。まったく、シエスタはいい娘だ。 こんな俺にも何かと親切にしてくれる…まさに女性の鏡だな。きっと将来、良妻賢母になるだろう。夫になる奴はかなりの幸せ者だ。」 ルイズは、(ふーん…そんなメイドがいるのねぇ)と感心した。 「そうそう、平民同士だからかもしれんが、厨房の奴らは気のいい奴らばかりでな…」 ポルナレフはルイズに厨房の人々の事を話した。 平民とあまり交わったことの無いルイズにとってそれは新鮮な話だったが、あまり興味は無く、たまに相槌を打つだけで殆ど聞き流していた。 やがて二人は城下町に着いた 「…狭いな。本当にこれで大通りなのか?」 ポルナレフがトリステイン城下町きっての大通り、ブルドンネ街の人込みを歩きながらぼやいた。 「狭いかしら?人込みは否定出来ないけど、大通りってこれぐらいじゃない? それより、どこに行くのかいい加減教えなさいよ。」 ルイズが先を歩くポルナレフを追いかけながら言った。 「武器屋にな…」 「武器屋?」 「ああ。いつも決闘の時ナイフ使ってるだろ?あれは少し訳があって本来使ってはいけないものなんだ。 金が出来たからその代わりとなるような剣を買おうと思ってな。」 ポルナレフはルイズにそう言ったが、この時、半分しか理由を話してなかった。 本当の理由はチャリオッツを使うときにナイフより剣の方がリーチが長く連係が効く、と考えたからだ。 「それで場所は分かるの?」 「確かピエモンの秘薬屋とか言う店の近くにあるとかマルトーが言っていた。地図も有るんだが、まだ地理が分からなくてな… すまないがちょっと見てくれないか?」 ポルナレフはルイズにマルトーの描いた地図を渡して、先を歩くよう促した。 ルイズは異世界から来たとか言うポルナレフが一週間と少しで常識的な知識や金を手に入れていたのには 舌を巻いたが、まだ地理が分からないと聞いて少し優越感に浸った。 やがて店は見つかり、二人は羽扉を開けて中に入った。そしてポルナレフは店の奥から出て来た店主に話しかけた。 「レイピアを探しに来た。出来れば丈夫な物を頼む。」 ポルナレフはそう言うと袋を取り出した。先日オスマン達から巻き上げた金である。 「へぇ、分かりやした。で、あのお嬢さんは…」 店主が店内を見て回っているルイズをちらりとみる。マントの留め具に描かれている五芒星に気付いたらしい。 「私の主人だ。ただ連れ添いに来てもらっただけだ。」 そうポルナレフが言った 「そうでっか。そういえば最近下僕に剣を持たせる貴族が増えてやすね。自分から求めてくるのは珍しいけど。」 「ほう…そうなのか?」 「えぇ。何でも最近は貴族の宝物を狙ったメイジの盗賊が出るらしくて…」 「『土くれのフーケ』とやらか?」 「よくご存知で。その土くれに備えるためとかなんとか。おっと失礼。少しばかし見てきまさあ。」 しばらく待つと店主がやけに装飾が施されたレイピアを持って来た。 「しかし旦那、今時レイピアなんて使う人なんかいませんぜ。せいぜい貴族様の装飾品でさあ。」 「…」 成る程、確かに店内にレイピアは中々見当たらない。あってもどれもが華美な代物だらけだった。 実戦で使えるかどうか非常に怪しい物ばかりである。 「ちなみにそれは幾らだ?」 「へぇ2000エキューで。」 ポルナレフの所持金は500エキューしかない。明らかに足らなかったし、法外な値段だということも気付いた。 「ちなみに安いので幾らだ?」 ポルナレフが今度はかなり下手に出た。 「そうですなあ…そこの壁に立て掛けてあるので大体400エキューですな。」 店主が指差した先にはさほど装飾が華美でないレイピアが壁に立て掛けられていた。 見た所錆びてはいないし、そこそこ丈夫そうだ。 「それじゃあ、あれをくれ。」 ポルナレフは店主にそう言って袋の中から金貨を取り出して支払おうとした時、 「俺にさわんじゃねえ!貴族の娘っ子!」 いきなり店内でそんな声がした。ポルナレフが思わず振り返るとルイズが一本の剣を握っている。 「やい!デル公!お客さんにそんなこと言うんじゃねえ!」 店主が剣に向かって叫んだ。ポルナレフには何がなんだか分からなかった。 「ひょっとしてこれインテリジェンスソード?」 ルイズが驚いたように言った。 「何だ?その『インテリジェンスソード』というのは?」 「へぇ、魔法がかけられていて、意志を持って喋る剣のことでさぁ。」 「ほう…」 ポルナレフは多少興味を持ちルイズの方に歩いていくとその剣を手に取った。 こちらはさっきのレイピアと違い、刀身に錆が浮いている。喋るだけの駄剣か、と思っていると、 「…おでれーた。おめえ『使い手』か?」 剣が驚いた様に言った。 「『使い手』?」 「そうだ。どうだい?レイピア使うんならマンゴーシュはいるだろ?長すぎるし片刃でマンゴーシュには到底向かないが、俺を使わないか? お前さんならきっとマンゴーシュ、いや、むしろ変則的な二刀流として使いこなせる。」 「…成る程な。レイピアと大剣の変則的二刀流か…面白いかもな。」 「そうよ。だから俺を……」 「だが断る」 「ナニィ!?」 「すまないが意思を持つ剣というのにトラウマがあるんでな。しかも片刃というのが、な。」 そういうと剣を元の位置に戻した。 「ちょ、ちょっと待って!お願い話を聞いてね、ね!」 「…」 ポルナレフがうざそうに剣を見る。 「ほら、手足はないけど歌えるぜ!♪アア~オ~~~ンン~~トォ~~…」 「……」 ポルナレフがますますうざそうに見る。どうやら今度はインドでのトラウマを思い出したらしい。 それに気付いて、 「頼みます。買ってください。このデルフリンガー、一生のお願いです。トラウマだなんて言わないでね、ね?」 遂に剣は遜りはじめた。 その態度にポルナレフもさすがに哀れに思い、店主に聞いた。 「…このデルフリンガーとやらは幾らだ?」 「…100エキューでいいでさぁ。」 ポルナレフは袋から残りの金貨を全て出すと店主に渡した。 「じゃあ『あいつ』も頂こう。」 「何でそんな剣買ったの?装飾が殆どないレイピアと錆が浮いた口の悪いインテリジェンスソードなんてあまりにも趣味悪いわよ。」 店を出て大通りに戻ってからルイズが言った。 「人に趣味が悪いとか失礼だぜ、なあ相棒。」 鞘から少しだけ刀身が出ていたらしい。デルフリンガーが喋った。 「相棒と呼ぶな。」 パチンと完全に鞘に収め、(「あ、ちょ、待って…」) 「…まあ、レイピアは俺の最も得意な武器だ…ただこいつは余りにも哀れ過ぎてな…金にも余裕はあったし。」 と言って鞘に収めたデルフリンガーを見た。錆さえ落とせば使えるかと思ったが、マンゴーシュの代わりにはならないだろうしやっぱり無理だなと思い直した。 「ところで案内したんだからそれなりに御礼ぐらいはするんでしょうね?」 ルイズがずいっとポルナレフに詰め寄る。 「悪いが剣を買ったので持って来た金が無くなってな…まあ、普段から世話してやっているんだ。礼なんて別にいらんだろ。」 「な、ななな、何よそれ!私の休日潰してそれは無いんじゃない!?」 ルイズはポルナレフの『礼なんて無くて当然だろ』という態度に憤慨した。 「それじゃあ街で貴様の買い物でもしておくんだな。俺ももう少し町を見ておきたいしな。」 そう言うと、怒鳴るルイズを無視してポルナレフは通りを歩いて行った。 To Be Continued...
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カード名 使い魔アルフ サイド W 種類 キャラ 色 黄 特徴 魔法・使い魔 レベル 0 コスト 0 パワー 500 ソウル 1 トリガー - パック NS 効果テキスト フェイトすべてにパワー+500は強力。ただし、パワーが500しかないため、パワーを下げるカードに対しては注意が必要
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「ロックマンゼロ」のゼロ 使い魔のゼロ 第一話 使い魔のゼロ 第二話 使い魔のゼロ 第三話 使い魔のゼロ 第四話 使い魔のゼロ 第五話 使い魔のゼロ 第六話 使い魔のゼロ 第七話 使い魔のゼロ 第八話 使い魔のゼロ 第九話 使い魔のゼロ 外伝 第ゼロ話 使い魔のゼロ 番外編 使い魔のゼロ 番外編 ゼロのアドベント(召還)バイフロスト先生編
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このページは「お願い!召喚!!使い魔ン」の使い魔ン集めの攻略ページです。 ※以下の内容は18歳未満の方には有害な情報を含んでいます。 あなたは18歳以上ですか? はい 目次 使い魔ン一覧 使い魔ン一覧 名前 入手方法 備考 くまの三四郎 マンジュローザへの道 崖をくマトックで破壊した先の緑宝箱 ゴーレム お化け屋敷 隠されたドアを進んだ先にある緑宝箱 ドアは聖なるランタン入手で出現 ゴリラの戦士 マンコロ古城 地下牢にある緑宝箱 ジャイアントプリン ストーリー攻略で必ず入手 猫松監督 豚の湯 一番左ののれんの先の温泉にいる猫に金貨を渡す 金貨500枚 悪魔王子マクアくん⇒スーパーマクアくん ストーリー攻略で必ず入手⇒ストーリー進行で進化 オリエンタルドラゴン ストーリー攻略で必ず入手 グレーターデーモン 冥界ネザー 死神と戦闘する部屋の緑宝箱 殺人マシーン ブーヨーク 下水道の壁をくマトックで壊した先で戦闘 デビルシェフ 封魔の神殿への洞窟 脇道の階段を上ったところのレストランで戦闘 パーティに「ミノタウロス」が必要 古の勇者 万寿ヶ丘 洞窟内に刺さっている剣を抜く Lv.20以上の「勇者ユカちゃん」が必要 マザーCPU マリールゥの家の地下 壊れたロボットにメカナオール改造+を使う エンチャンとん お化け屋敷 地下牢のブタ だるまスワイン マンジュローザ 鬼豚組にいるブタからもらう 土偶スワイン マンコロ島 古城までの道中の崖でくマトック使用 ぶた宮とん次郎 マンジュローザへの道 商人テントにいるブタから買う 金貨100枚 弁慶スワイン ストーリー攻略で必ず入手 極道のぶた⇒仁義なきぶた ストーリー攻略で必ず入手⇒ストーリー進行で進化 イフリーとん 封魔の神殿へ続く洞窟 緑宝箱 海のとんトン マンコロ島 ビーチにいるブタから購入 金貨1000枚 カンフースワイン ブーヨーク BUTAYAから右に行った先のトイレにいるブタに金貨を渡す 金貨800枚 シノビスワイン 封魔の神殿 青い床を進んだ先の燭台の近くの緑宝箱 諸葛豚ぶぅめい マンジュローザへの道 商人テントから左に行ったところ黒帯ブルマーを撃破した先で3匹のブタが道を塞いでいるのでそれぞれアイテムを渡して進んだ先の民家 ゴールデン饅頭、百年団子、千年に一匹のたい焼き ピッグ・ジョー 封魔の湖 テント前にいるブタに金貨を渡す 金貨10000枚 黒帯ブルマー マンジュローザへの道 商人テントから左に行ったところの女の子と会話すると戦闘 パーティに「くまの三四郎」が必要 ハーピィ マンジュローザ BUTAYAにいるブタから買う 金貨300枚 ブルマ天狗 万寿ヶ岳 洞窟牢の中にいる天狗と会話 牢の鍵は敵の天狗がドロップ ミチトノソウグウ ブーヨーク 下水道を抜けた先の倉庫で木箱に入れられたブタと会話すると戦闘 ミノタウロス マンジュローザへの道 神社近くの滝つぼにいる牛娘と会話すると戦闘 かわいいユカちゃん⇒勇者ユカちゃん ストーリー攻略で必ず入手⇒「ユカちゃんの勇者セット」使用で進化 サイキックセーラー ブーヨーク BUTAYAにいる女の子と会話 コスプレショップでブルセラおパンツ購入後 サキュバス先生 ストーリー攻略で必ず入手 猫巫女のニャテスト マンジュローザへの道 神社にまたたびぃ~るをお供えする オリエンタルウィッチ 封魔の神殿への洞窟 脇道の階段を上った先にいる女の子と戦闘 パーティに「猫松監督」が必要 ぶるうりぼん 冥界ネザー 青ボタンを押すことで開くドアの先で戦闘 いいえ
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使い魔は手に入れたい No Remorse その日、シエスタは少し戸惑っていた。 「ヨシカゲさん?ヨシカゲさーん」 コン!コン! 呼びかけながらもう一度ノックしてみる。しかし、反応は全くない。 出すまい、出すまい、と思っていたがやはりため息が出てしまう。さっきから暫らくの間こうして呼びかけているのだが一向に反応がないからだ。 何故こんなことになっているのかというと、朝食の時間になってもヨシカゲとルイズが来ないからだ。 初めは待っていたのだが、あまりにも来ないので呼びに来たのだ。ルイズは弟たちに任せてある。 弟たちに任せればどんなに寝惚けている人でも忽ち起こしてしまうほど五月蠅いので、ルイズもすぐに起きるだろう。 シエスタは村に来るまでルイズと同じ部屋で寝起きしていたので、ルイズがどれだけ朝が弱いか知っている。だから弟たちに任せたのだ。 だが、弟たちに任せた理由は上辺だけに過ぎない。本当の理由は、自分がヨシカゲを起こしたかったからだ。 昨日は都合よくルイズが買って出たのでいけなかったが、今回は自分が起こせるチャンスなのだ。そのチャンスを逃すことがあるか?いや、ない反語。 そんな感じで起こし来て10分が経ち冒頭に戻る。 まさか、これほど呼んでも起きないとは思わなかった。 それほど深く眠っているのだろうか? でも、ヨシカゲさん結構朝は早いほうよね? そう、早朝仕事をしているときなど、たまにヨシカゲの姿を見かけることがあった。洗面器に水を汲んだり、洗濯などを朝の早いうちにしていたからだ。 自分にも仕事があったし遠目で見ただけなので声はかけなかったがこんな時間に起きているのかと感心していた。 それに中継所でも常に自分たちより先に起きていたのだからなおさらである。 そんなヨシカゲがこれだけ呼んでも起きないというのは少し引っかかる。だからと言って勝手に部屋の中に入るのは失礼だ。 「おねーちゃん!」 部屋に入るべきか否かを考えていると、ルイズを起こしに行かせた弟の一人がシエスタの元へやってきた。 「どうしたの?」 「貴族さまぜんぜんおきないよ~」 「え、ミス・ヴァリエールが?」 「ぼくたちちゃんとおこしたよー!おきない貴族さまがわるいんだもん!ぼくたちわるくないもん!」 「あ、はいはい。わかったからそんなに喚かないの。別に怒ってないでしょう」 ミス・ヴァリエールが起きない? 弟を宥めながらそのことを思い返す。 いくらルイズの寝起きが悪いといっても、弟たちに任せれば確実に起きるはずだ。自分でも時間は掛かるが起こせれるのに。 それなのに起きないなんていうのはいくらなんでもおかしいだろう。 それにヨシカゲも起きないというのはいくらなんでも出来過ぎじゃあないだろうか? そんな思いがシエスタの胸中をよぎる。 よし、部屋に入ってみよう。 やがてシエスタはそう決め、ドアノブに手をかけ、捻る。鍵はかかっていない。 「ヨシカゲさん、失礼します」 声をかけながら部屋の中に入ると、そこには、 「あれ、おじさんいないじゃん。あ!ネコ!」 「ミャオ!?」 誰もいなかった。剣と帽子と手袋と、弟から逃げ回る子猫以外、そこにはなにもなかった。 シエスタはそれを確認した瞬間、部屋から出て急いでルイズの部屋へ向かう。部屋の前には弟たちがルイズを起こそうと声を上げドアを遠慮なく叩いていた。 それをやめさせドアノブを掴む。そして間髪いれずドアを開く。 「ミス・ヴァリエール、失礼します」 もちろん声をかけるのも忘れない。 部屋の中に入りすぐにベッドを見やる。そこにルイズはいなかった。 「貴族さまいないよー?」 「おねえちゃん、勝手にはいっていいの?」 「あれー?いないいない?」 村を出たわけじゃない。 シエスタはそう結論付ける。何故ならルイズの部屋には荷物が残されているからだ。 ヨシカゲの部屋にも荷物は少量ながら(剣しか持って来ていなかった気がする)残されていた。 では二人そろってどこへ? シエスタはとりあえず父の判断を仰ぐことにした。その後、近所のもので貴族とその従者探しが行われた。 そして1時間後、ルイズとヨシカゲは草原で発見された。発見者はシエスタ。彼女は相当慌てて草原に来るように皆に訴えていた。 探していたみんなが草原に行くとそこにはルイズとヨシカゲが倒れていた。 ヨシカゲは顔を大きく腫らし口から血を流して、ルイズは頭部から血を流しながらそれぞれ気絶していた。二人はすぐに村へ連れて行かれ手当てされベッドへ寝かされた。 シエスタの父はシエスタに草原に探しに行った理由を聞くと、昨日3人で見に来たからここ以外に心当たりがなかったからだという。 なぜこんなことになっているのか?村の人たちは考えたがいくら考えても出るわけがなかった。 白い、白い、白い空間が続く。 この部屋には白い以外の部屋はないのだろう。あの例外を除いてだ。 She keeps Moet and Chandon in her pretty cabinet Let them eat cake she says, just like Marie Antoinette A built in remedy for Khrushchev and Kennedy And anytime an invitation you can decline Caviar and cigarettes well versed in etiquette Extr ordinarily nice 相変わらずのこの歌流れている。この歌を流すあの人影がこの白い空間の中、私を除いて唯一白以外の色を持っている。 その歌に連れられる様に人影の元へ向かっていく。 どうして自分がここにいるのか?どうして崩れたはずの体がここにあるのか?そんなことはどうでもいい。 今することは、あの人影のところまでいくことだ。 この空間に来た瞬間にそう決めた。何故なら思い出したからだ。前にこの空間に来たときのことを。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~...(~~~) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (~~~~?) サビは相変わらず聞こえない。私には聞こえない。私には聞こえることはない。 それを実感しながら人影に向かって歩く、歩く、歩く。まずあの人影のところまで行かなければ話しにならないのだから。 To avoid complications, she never kept the same address In conversation, she spoke just like a baroness Met a man from China went down to Geisha Minah Then again incidentally if you re that way inclined Perfume came naturally from Paris (naturally) For cars she couldn t care less, fastidious and precis 人影はやはり右腕しかはっきり見えない。私には右腕しか見えない。 それを改めて実感しながらさらに歩く、歩く、歩く。 なぜ、聞こえないのか?何故見えないのか? ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(~~~~) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(~~~~~?) この歌の曲名は『KILLER QUEEN』、あの人影の名前も『KILLER QUEEN』。 どうして解るのだろうか? Drop of a hat she s as willing as a playful as a pussy cat Then momentarily out of action, temporarily out of gas To absolutely drive you wild, wild She s out to get you ~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(~~~) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (~~~~~?) 私が持っているのは銃だとあの男は言っていた。 自分が持っているのは弾だと。初めは何のことだかわからなかったが、今考えればわかる。 もう一つの右腕、『キラークイーン』のことだろう。あのときそう言っていたはずだ。 弾を撃ち出すためには銃がなければいけない。弾だけではその真価は発揮できない。銃だけではその真価を発揮できない。 銃と弾は二つで一つだ。 ついに人影のところまでたどり着く。そこには既に私を待ち構えるかのように人が立っていた。中肉中背のどこか気品漂うような、しかし影の薄い顔立ちをした男が。 なにも言わず私たちは見つめあう。目の前に立つ男の顔は舞台で見た男と同じ顔だった。 「……改めて、初めて。私の名前はヨシカゲ。キラヨシカゲだ」 「奇遇だな。私も吉影。吉良吉影だ」 初めて私たちは、お互いのことを理解して見詰め合った。
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「・・・それじゃあ開けるわよ・・・」 揺らめく炎が微かに照らす岩壁に、少女の声が反響する。誰も近寄らない魔物の 巣窟、その深奥に安置された古びたチェストに手を掛けて、キュルケは真剣な 眼でルイズ達を見た。少し汚れた顔を皆一様に頷かせたことを確認して、 ゆっくりと蓋を開く。 キュルケの地図によれば、犬にされた王女の呪いを解除したとも、王に化けた トロールの魔法を見破ったとも伝わる「真実の鏡」がこの洞窟に隠されていると いう話だった。もし本当ならば世紀の大発見である。期待と不安の眼差しの中、 箱の中から姿を現したのは―― 「なッ・・・!」 粉々に割れた鏡の残骸だった。 「何よそれぇ~~~・・・」 糸が切れた人形のように、キュルケ達はへなへなとへたり込んだ。 「み、見事に割れちゃってますね・・・」 「・・・真贋以前の問題」 脱力するシエスタの横で、流石のタバサも疲労の溜息をついた。 「・・・戻るか」 頭を掻きながら呟くギアッチョに異を唱える者はいなかった。 その夜。 「はぁ~~~~~~・・・・・・」 適当に見繕った洞穴に腰を下ろして、ギーシュは深く息を吐き出した。 「七戦全敗とはね・・・」 焚き火に手を当てながら首を振る。 そう。現在消化した地図は八枚中七枚、そしてその全てが到底お宝等とは 呼べないガラクタのありかであった。 炎の黄金で作られた首飾りが隠されているはずの寺院にあったのは、真鍮で 出来た壊れかけのネックレス。小人が遺跡に隠したという財宝は、たった六枚の 銅貨だった。それでも何かが出てくるならばまだいい、中には地図に描かれた 場所自体が存在しないことすらあった。 「ま、いい経験が出来てよかったじゃあねーか」 ギアッチョが戦利品の欠けた耳飾りを眺めながら言う。彼の言ういい経験とは、 無論実戦経験のことである。この数日間否応無く化物の群れと戦い続け、 ルイズ達は最後にはギアッチョの助けが無くともそれらを殲滅出来る程に なっていた。 「おかげさまでね・・・」 「懐が暖まらないのは残念だけどね」 そう言いながらも、不思議とキュルケに悔しさは無い。そして、それは皆同感の ようだった。 ゆらゆらと揺れる炎を見つめながら、ルイズは静かに言う。 「でも・・・楽しかった」 「・・・そうだね」 その言葉に、皆の顔から笑みがこぼれる。傍から見れば何の得も無い、くたびれ 儲けのつまらない旅行だろう。しかし――損だとか得だとか、そんなことは彼女達 にはどうだっていいことだった。 眼に見えるものは何も無い、手に取れるものは何も無い。だが彼女達が手に入れた ものは、だからこそその胸の中で強く輝いている。 「・・・これ・・・」 ルイズは手のひらに慎ましく乗っている六枚の銅貨に眼を落とす。それは今回の 数少ない戦利品の一つだった。とは言え、とりたてて古銭というわけでもない 上どれも皆錆び放題に錆び、あちこちが傷つき欠けている。とりあえず持ち 帰ったはものの、どう考えても買い取り不可であろうこれをどうしたものか、 皆の頭を悩ませている一品であった。 「・・・・・・これ、皆で一枚ずつ持たない?」 しばし考えた後、ルイズはおずおずとそう言った。 「・・・分配?」 意味を量りかねて、タバサは小首をかしげる。 「ううん、そうじゃなくて・・・」 「こういうことだろう?」 そう言ったのはギーシュだった。ルイズの手から銅貨を一枚取り上げると、 錬金で中央に小さく穴を開ける。ガラクタの中からネックレスを取り出し、 穴に通して首にかけた。 「う、うん・・・」 ズレてはいるが殊更外見を気にするギーシュが躊躇い無く銅貨を見につけた ことに、ルイズは聊か驚きながら首を頷かせる。 「・・・解った」 得心した表情で立ち上がると、タバサもまたルイズの掌から銅貨を一つ掴む。 後に続いてキュルケが二枚をその手に取った。 「ほら、シエスタ」 「へっ?」 焚き火に鍋をかけていたシエスタは、キュルケに差し出された銅貨に眼を丸く する。一拍置いて、ブンブンと手を振ると慌てた口調で言葉を継いだ。 「そそ、そんないけません!折角の宝物を私のような平民に――きゃっ!」 キュルケはシエスタの額を中指で軽く弾いて言う。 「全く、まだそんなことを言ってるの?平民だとか貴族だとか言う前に、 私達は友達じゃない 大体、貴族と平民に違いなんて何も無いことは貴女が 一番よく知ってるでしょう?」 「・・・そ、それは・・・」 「ん?」 シエスタの瞳を覗き込んで、キュルケは優しく微笑む。シエスタは少しの間 銅貨を見つめて逡巡していたが、やがてキュルケと眼を合わせて口を開いた。 「・・・私でも――いいんでしょうか」 「よくない理由が無いわよ」 きっぱりと、キュルケは断言する。シエスタは少しはにかんだ笑みを浮かべて、 静かに銅貨を受け取った。 「ありがとうございます・・・ミス・ツェルプストー」 「き、君達いつの間にそんな関係にッ!?」 「どんな関係も無いから鼻血を拭きなさい」 何やら興奮した面持ちのギーシュを適当にあしらうと、キュルケはルイズに 視線を移して、 「ほら、まだ残ってるでしょうルイズ」 「・・・うん」 意味するところを察したらしいルイズは、掌に残った銅貨を一枚取り上げて、 ゆっくりとギアッチョに差し出した。 「受け取って、くれる・・・?」 「――・・・・・・」 ギアッチョは答えずに錆びてひしゃげた銅貨を見つめる。 これは児戯だ。心に風が吹けば飛び、薄れ、消えてしまう記憶を、それでも 留めておきたい子供の。 ――それでも。彼女達にとっては、この銅貨は紛れも無い宝物になるだろう。 ギアッチョは口を閉ざす。黙ったまま――その眼差しに万感を込めるルイズから、 銅貨を受け取った。 「ギアッチョ・・・」 ルイズの、キュルケ達の顔が綻んだ。どうにも居心地が悪くなって、 ギアッチョは銅貨に眼を戻す。薄くて軽いそれが、少しだけ重さを増した ように感じた。 「さ、皆さん お食事が出来ましたよ」 やがて完成したらしいシチューを、シエスタは鍋からよそってめいめいに配る。 食前の唱和もそこそこに、動き疲れたルイズ達は少々はしたなく食器に手を 伸ばした。 「・・・おいしい」 食べ慣れないが実に美味しいシエスタの料理に、ルイズ達は揃って舌鼓を打つ。 兎肉や種々のキノコにルイズ達が見たことも無いような山菜が入ったそれは、 聞けばシエスタの村の――正確には彼女の曽祖父の、郷土料理なのだと言う。 それから、話題はそれぞれの郷土のことに移った。少し酒の入ったギーシュは 饒舌にグラモン家の領土を語り、それを皮切りに皆わいわいと言葉を交わし 始める。ギアッチョも酒を傾けながら時折話に混ざっていたが、それを見て タバサがふと思い出したように呟いた。 「・・・貴方は?」 「あ?オレか?」 「そういえば、ギアッチョの話は聞いたけどそっちの世界の話は聞いて ないわね 良ければ聞かせて欲しいわ」 「・・・そうだな」 キュルケの言葉に、空になった杯を弄びながら答える。 「前にも言ったが、最も大きな違いは魔法なんてもんが存在しねーことだ」 「君のようなスタンド能力はあるのにかい?」 「こいつは例外中の例外だ スタンドを知ってる人間なんざ、さて世界に 何人いるかっつーところだな ・・・ま、そう考えるとよォォ~~~、 魔法使いがひっそり存在してるって可能性も否定は出来ねーが ともかく 殆ど全ての人間が魔法なんて知らねーし信じちゃあいねー そういう世界だ」 ギアッチョの説明に、キュルケ達は一様に不思議な表情を浮かべる。 「何度聞いても想像出来ないな・・・ ということはマジックアイテムも 無いんだろう?不便じゃないかね?」 「不便ってのは便利さを知って初めて出る言葉だと思うが・・・ま、別に んなこたぁねー 魔法の代わりに、地球の文明は科学によって発展してきた」 「・・・科学」 「あの教師――コルベールか?いつだったか、授業で簡単な内燃機関を 披露してたがよォーー、例えばあれを応用すると馬車より速い乗り物を 作れる 国にもよるが、大半の人間はそいつを足に使ってるな」 「えーっと・・・?」 案の定と言うべきか、今の説明を完璧に理解出来た者は居ないようだった。 眼鏡をかけ直す仕草の間に、ギアッチョは解りやすい例えを捻り出す。 「・・・簡単に言うとだ」 軽く居住まいを正すと、片手で天井を指しながら、 「あの飛行船・・・あれを動かしてる動力があるだろ」 「風石」 間を置かず補足するタバサに頷いて続ける。 「そいつを人工で作り出したみてーなもんだ」 おおっ、と全員が驚いた顔になる。 「凄いじゃない!魔法も使わずにそこまでのことが出来るなんて!」 得心がいって俄然興味が沸いたのか、キュルケが少し身を乗り出して言った。 いかにも非魔法的技術に特化したゲルマニアの貴族らしい反応である。 「あら・・・?ということは、コルベール先生は雛形とは言えそれを 一人で作り上げたということ?」 「そういうことだろうな」 油と薬品の臭気が漂う研究室で独り研究に明け暮れる奇矯な教師、という 学院一般の評判を思い出してギアッチョは答えた。「そう・・・」呟くように 言うと、キュルケは少し複雑そうな表情を見せる。 「それじゃ、他にはどんなものがあるの?」 続けて問い掛けるルイズに、ギアッチョは面倒というよりは怪訝な視線を 向けた。 「おめーにゃあ何度も話してるじゃあねーか」 「そうだけど、もっと詳しく聞きたいんだもの それに、皆は初めて聞く ことでしょ」 「ギアッチョさん、私ももっと聞きたいです」 ルイズとシエスタの言葉に、ギーシュが頷きで賛同の意を示す。ギアッチョは ガシガシと頭を掻いて、一つ溜息をついた。 「・・・ま、別にかまわねーが」 とは言え、乱暴な言い方をするならば殆ど何もかもが違うような世界である。 はて何から喋ったものかとギアッチョは一人思案した。 先端科学の話でもするかと考えたが、観測者の存在が観測結果に影響を与える 等と言ったところで理解は難しいだろう。考えた末に比較の可能な乗り物から 話すことにすると、ギアッチョは手近な小石で地面に絵を描き始めた。 「飛行機っつー代物があってな・・・」
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「バッカーノ!」よりクリストファー・シャルドレードを召喚 赤目の使い魔-01 赤目の使い魔-02 赤目の使い魔-03 赤目の使い魔-04 赤目の使い魔-05 赤目の使い魔-06 赤目の使い魔-07 赤目の使い魔-08 赤目の使い魔-09 赤目の使い魔-10 赤目の使い魔-11 赤目の使い魔-12
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「大鉄人17」より17(ワンセブン) 大使い魔17-01 第一話「今度の神の笛、機械仕掛けにつき」 大使い魔17-02 第二話「最終兵器! 汝(なれ)の名はグラビトン!」 大使い魔17-03 第三話「トリスタニア・買い物狂想曲(カプリッチオ)」 大使い魔17-04 第四話「魔銃争奪? シュヴァリエ? 月下のダンス!」 大使い魔17-04.5 幕間「プリンセッセ・ハート」 大使い魔17-05 第五話「白い国へ行こう」 大使い魔17-06 第六話「陰謀幻想曲」 大使い魔17-07 第七話「港町の夜に」 大使い魔17-08 第八話「運命の再会! ウェールズとティファニア」 大使い魔17-09 第九話「地上最哀の兄弟ゲンカ、勃発」 大使い魔17-10 第十話「ロンリー人造人間キカイダー」 大使い魔17-11 第十一話「邪国への花嫁王女」 大使い魔17-12 第十二話「救世主、ワンセブン」 大使い魔17-13 第十三話「ヤンデレラ・ルイズ」 大使い魔17-14 第十四話「祝福されし男」 大使い魔17-15 第十五話「決闘のち変身、所により大切断、またはドクロ少佐か鋼鉄参謀でしょう」 大使い魔17-15.5 幕間その二「蘇るソロン号! ジョゼット救出大作戦!」 大使い魔17-16 第十六話「死へのカウントダウン開始! 許されざる再会」 外伝 ~ジローの冒険~ 大使い魔17外伝-01 第一話「ヨルノヤミヨサヨウナラ」 大使い魔17外伝-02 第二話「千両役者達に乾杯」 大使い魔17外伝-03 第三話「ギャンブルブレイカー 武力を持ってイカサマを征す」 外伝その2 ~烈風(かぜ)の本郷猛~ 大使い魔17外伝その2-01 第一話「仮面異世界(マスカーワールド・オルタナティブ)」
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「ワルド、単刀直入に聞こう。なぜ、ウェールズを殺した?敗戦は確実な以上、貴様らがその気になれば 殺すのは簡単なはずだ」 ワルドは首をかしげる。 「言ってることがよくわからないな、その気になったからここで殺したんじゃないか」 「ならば言い換えよう、なぜ戦士を戦いで死なせてやらなかった?」 ワムウのかつてない気迫に、ルイズは鳥肌がたつ。 「なにを言っているんだね君は、これは決闘でも訓練でもない。戦争だ。アルビオンの腐りきった王族の 名誉など考えているのかね?『目的のためには手段を選ぶな』、これがレコン・キスタの標語でね、 頭から潰せば崩壊も早いと考えればこんなのは必然さ。もちろん、国王も僕の献上した とびきり上等なワインを飲んで、そろそろ部屋で遺体になっている彼が見つかる頃だろう。 彼らは死ぬために戦っている。そんなオークのような相手に真っ正面から戦うなど愚の骨頂だ。 むしろ、死ぬと決まった相手を早めに殺し、僕たちの兵を生かす。これが善い事でなくて なんだというんだね?中立の視点から見てみればわかることさ」 「戦士の名誉と、名誉など考えないものの命、どちらが軽いかは明白だ」 「価値観の相違、というやつかな、もっとも君と合わせるつもりはないしね。が、喜びたまえ、 君は風のスクウェア、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドとの戦いの中で死ねるのだからね」 ワムウが口の端を歪める。 「俺を殺すだと?笑わせるな、人間が。波紋も使えない、戦士としての誇りもない、そしてこの 風の流法の使い手に風のスクウェア、だと?年季の違いをわからせてやろうか」 「確かに君は強い、強いがしょせんは力だけのオークにすぎないね。そこらの風のスクウェアになら勝てる かもしれないが、僕は『立ち向かうメイジ』だ。いくら、力があろうとも運命には勝てない。 僕は運命に立ち向かい、過去に立ち向かい、聖地に立ち向かい、全てを乗り越える能力を ブリミルから授かったのだ!忠告してやる、『遊び』のときと同じに思わない方がいいぞ」 そう言って、ワムウは五体に分身する。 「あれが奴の能力とやらか」 「違うわ、あれは遍在。風の魔法よ。能力とやらがあるなら、たぶん他のはずだと思うわ」 「おでれーた、自由自在に動かせる遍在四体とは滅多にみれねーぜ相棒。おそらくあいつらも同じように 魔法を放ってくる筈だぜ。ただ、おれっちの勘だが、ただの遍在じゃあない気がするぜ」 ワムウはデルフを鞘に押し戻し、スレッジハンマーを構え、ルイズと一緒に柱の影に隠れる。 「そう、集団戦で心強い火や巨大なゴーレムを生み出す土、治療から工作まで行なう水をさしおいて、 風が最強と言われる所以は…確か…」 ワルドと遍在は、風の刃を続けざまに放ってくる。 同時に撃たず、一定の間隔をあけ、途切れないように撃ち、風の弾幕を作る。 何発か隠れている柱に当たり、柱が軋み始める。 「そう、狭い場所での決闘こそ、風のメイジの独壇場。昔は貴族同士の決闘が重視されていたから 風が最強という名誉を受けていたって習ったけれど…」 「なるほど、この狭い室内で二人相手にするにはまさにうってつけというわけか。 だが、惜しいな、ワルド。俺も決闘は得意でな」 ワムウはデルフを左手に持ち、言うが早いか、風の弾幕へ突っ込んでゆく。 スレッジハンマーとデルフを盾にし、遍在の一人に飛び掛かる。 あっというまに一体の遍在のみぞおちにスレッジハンマーの一撃を叩き込み、遍在は床にくずれる。 飛び掛かった勢いで近くの柱に転がり込み、振り返って次の攻撃に備える。 数カ所血が出ているものの、柱の男の治癒力でふさがっていき、ほとんどダメージはない。 「遍在が五体揃っているもっとも有利なときに仕留められんとは、あれだけ豪語した割に聞いてあきれるな、 一人ずつ、詰将棋のようにかたをつけてやろう」 ワルドは三体をワムウの方向に向け、エアハンマーを放ち始める。 鋭さはないが、風の槌であるゆえ、ワムウにたとえダメージがなくともよろめかせることはできる、 とみて呪文を変えてきたのだろうか、同じように三体は交互に呪文を放つが、人数が減った分間隔が開いている。 残りの一体はルイズのいる柱へ向かう。 ワムウは、柱を飛び出し、デルフをルイズに向かう遍在に投げつける。 「久しぶりに使ってもらえると思ったらこんな使い方かあああ相棒うぅーッ!」 飛んできたデルフを遍在は魔法で弾く。 振り向かせ、ルイズに向かうまでの時間を稼ぎ、その間にワムウは風の槌の隙間を突破し、 遍在に飛び掛かり、飛び蹴りを食らわせる。 そうなる、筈だった。 ワムウは誰もいなかったはずの空間、先程遍在を一体倒したはずのあたりから 『ライトニング・クラウド』を背後から受け、倒れ、周りに遮蔽物のないあたりの壁に『エア・ハンマー』で 叩きつけられる。 ルイズも同様に、遍在からエア・ハンマーを食らい、同じ場所に吹っ飛ぶ。 「だから言っただろう、力じゃぼくには勝てないとね」 「貴族派は約束を守らず、先程攻撃を開始しました!」 「国王、崩御ォーーーッ!」 「ウェールズ皇太子様、ワルドの裏切りにかかって戦死いたしました!」 「『イーグル』号、貴族派『テメレイル』号の砲撃を受け、撃破されました!」 正門の手前、アルビオン王党軍は大混乱の最中であった。 守るべきはずの者が乗った『イーグル』号が無残にも撃沈され、泣き崩れる者。 国王及び皇太子が立て続けに亡くなったと聞かされ、自暴自棄に突撃し矢と銃弾と魔法の餌食となる者。 どうすればいいかわからず、オロオロとする者。 友人の死体を抱え、半狂乱になる者。 もし今敵が雪崩込んでくれば、まともに応戦もできず皆殺されるだろう。文字通り、虐殺、殲滅、崩壊だ。 「小隊長は自分の部隊をまとめよ!小隊長が戦死している場合若い番号の分隊長が小隊長を努めよ! まとめた後は応戦を開始し、各隊長は部隊の生存者数をオールド・パリーに報告した後指揮に移れ! あと数十分間、正門前の堀の端を死守せよ!」 シャチがそう叫び、彼の正規兵・水兵・メイジ混成部隊が応戦を開始する。 「ギーシュ、間違ってもゴーレムなんか作らないでよ、どうせ一分も持たないんだから精神力は 温存しときなさいよ。代わりにバリケードかなんかでも錬金しなさいよ 「自分の能力くらいわかってるさ、今バリケード作り始めてるから、数十秒待ってくれ」 「野郎ども、突撃してーのはわかるが堪えろよ、ただあそこに一歩でも入った奴は 容赦しねえで一人残らず止めやがれ」 「使えるものは好きに持ってってください、全部5エキューで構いませんよ。 …釣りはいらないって、じゃあアフターサービスです、この地下水ってナイフもおまけしますよ。グッド!」 城中から、部屋中から、船中から、港中から、ダービーが叩き売りしているわけのわからぬ珍武器ですらも、 武器として使えそうな者は片っ端から集め、とりあえず動けそうな奴に手当たり次第配っていく。 正門前はキュルケとタバサを他のメイジや銃兵、射手が援護する。 「シャチさん、できるだけ効果的に足止めのためだけに使って精神力は温存してるけど、 いつまでも持たないわよ!」 「わかってる、わかってるがもう作戦もなにもない、なんとか堪えてくれとしか言えない。すまんな、 こんな指揮官で。代わりに援護する銃兵を増やす、ミスタ・ダービー、銃二十丁、釣りはいりませんので そこの兵に持たせてください、持った兵はバリケードの内側から彼女らの援護にあたれ! オールド・パリー、大方の生存者報告は終わりましたので港の方の指揮に移ってください、こちらは 私が受け持ちます。…あと、数十分なんだ…どうか、皆頑張ってくれ…」 ありったけの飛び道具で城の上から、横からも足止めの威嚇をするために攻撃する。 正門上にある部屋の窓から何人かの兵士とともにギーシュが攻撃する。 ドットのためキュルケやタバサほど威力があったり正確な攻撃はしかけられないが、 多少窓枠が壊されても修理ができ、また攻撃はドットであるゆえ精密さはあまりないが、 上から石の礫が落ちてくるため、なかなか派手で威嚇には十分であった。 ギーシュは一息ついて、祈るようにつぶやく。 「もし、ワムウが来れれば…早く終わるかもしれないな」 「さてどうした、ワムウ君。あの程度の電撃じゃ死はおろか、気絶もしてくれないんだろう? 僕は、君を高く評価している。…できれば、ルイズと一緒にレコン・キスタにきてくれれば 頼もしかったんだが、そうはならない以上、念入りに殺させてもらおう」 ワルドの遍在三体が、ルーンを唱え始める。 周りに遮蔽物もなく、ワムウの射程は見切ったのだろう、三体は一斉に雷撃を放とうとする。 「ワムウ、一端逃げるわよ」 「…どこにだ?」 ワムウは舌打ちするが、さすがにあれだけの攻撃を真っ向から受ける気にはならなかったらしい。 「決まってるじゃない」 ルイズは杖を壁に振り、壁に爆発で穴をあける。 「わざわざ相手の得意な場所で戦うことないでしょ、どうやって外に出ようと思ってたけど、 好都合なところにこんなところに飛ばしてもらったからね」 ワムウはルイズを抱え、穴を無理やり広げながら外へ飛び出す。 そのまま身をかがめ、間一髪で雷撃をかわす。 「さすが僕のだったルイズ、機転が利くね。確かに風相手なら室内で戦うのは不利だろうね」 「誰があんたのルイズよ、あんたのものだったときなんて一秒たりともないわ!」 ワルドも同じように魔法で壁に穴をあけ、遍在たちが全員外に出てくる。 すかさず、ワムウが突っ込もうとするが、ルイズが止める。 「気持ちはわかるけど、あいつのいう通り力だけじゃ勝てないわ、あいつの能力を探るのよ… なんか、変な感じがするのよね」 「おう、俺っちも今までみた遍在とはなんか違う違和感を感じるぜ、なんだろうなあ」 遍在たちは詠唱を終え、魔法を放ってくる。ワムウはルイズを抱え、教会の上に飛び乗る。 「ねえ、ワムウ。遍在が背後から来たとき、なんか気配とか感じなかった?」 「全方位の風の動きを見ている。全員の体は風で動いているようだからな、普通に来たならわかるが、 あれは一瞬で先ほど倒した死体から『出現』したように感じた」 「死体…?そうよ、死体よ!おかしいのはそれよ!遍在は倒したら消えるはず、死体なんて残らないわ!」 「ご名答」 いつのまにか外に出ていた遍在が一人欠け、教会の中から飛び上がってくる。 「この距離ならかわせまいッ!ライトニング・クラウド!」 電撃が杖から放たれ、ルイズたちを襲う。 「相棒!俺であの魔法を防ぎやがれ!」 デルフの体が光る。 剣は雷撃を吸い取り、霧散させた。 「これが俺の本当のハンサムな姿さ!相棒、ちゃちな魔法なら全て吸い取ってやるぜ!」 デルフリンガーは今研がれたかのように、光り輝いていた。 「なるほど、それは便利だ」 ワムウはデルフリンガーをワルドに投げつける。 「そりゃないぜ相棒ぅーッ!」 ワルドの遍在はエア・ハンマーで弾こうとするが、風は吸い取られ遍在に深々と突き刺さる。 下のワルドの遍在が呟く。 「なるほど、ただの剣ではなかったようだな。さて、どうしたものか、面倒だ、降りてこい」 「いいだろう」 ワムウは飛び下りようとする。 「ワムウ、後ろよ!」 なんと、先ほど倒した遍在の背中から他の遍在達が出てくる。 「一斉にでてくるわァーーッ!」 遍在達は雷撃を一斉に放つ。 「ちょっと痛いけど、我慢しなさいよ!私は二回目なんだから!」 ルイズは杖を振り自分たちの目の前で爆発させる。 爆風でワムウたちは吹っ飛び、教会の下にワムウがルイズを抱え、着陸する。 「あれが、あいつの能力ね…」 ルイズが呟く。 「そう、ご名答…僕の能力を、僕と親しい者の間では『TATOO YOO!』と呼んで使っている。 たぶん君たちが察している通り、もちろんこれは魔法ではない。スタンドだ」 ルイズがワムウに耳打ちする。 「ねえワムウ、あの遍在の死体食えないの?」 「難しいな、食っている最中に中から雷撃を食らえば流石の俺でもダウンしかねん。そもそも 中で風が渦巻いてその魔料で動いているようだからな、食えるかどうかもわからん」 「じゃああの喋る剣で吸い取れないの?魔法なら吸い取れるんじゃないの?」 「教会の上の奴に刺さったままだな」 「しょうがないわね、なら一撃必殺よ」 教会の中の遍在の死体に移っていく。 僕の遍在は不思議なことだが、普通の遍在と違い、スタンド能力の影響だろうか、 なぜかやられても本体が魔法を解くまでは死体として残り続ける。 安全な距離から詠唱し、背中のタトゥーから腕だけ出して魔法を放つこともできる。 遍在を一体刺客として差し向け、遍在を倒して油断したところを暗殺する。 広範囲に遍在を散らばらせ、敵を見つけた途端に一カ所に遍在を集中させることもたやすい。 ノーリスクで強行偵察や背後からの攻撃や挟撃も思い通りだ。 派手さは無いが、一瞬で移動できる、というのはどんなことにも利く応用性を持っている。 ある軍人はこう言った。 『私の軍人としての一生の半分は、あの丘の先に敵がいるか悩み続けることであった』 僕は、その悩みを克服したも同然である以上、魔法衛士団の隊長などで燻っているべきではない。 レコン・キスタで戦果をあげて、権力と人脈を手に入れれば、母の死についてなにかわかるかもしれない。 そのためにも、残念なことであるが、僕の婚約者には死んでもらう必要がある。 運命と過去に立ち向かうには、これくらいの覚悟がなくてどうする、ワルド。 遍在を二体教会から出す。本体は中で待機させる。 ついでにひっつかんできた剣がカタカタ言っているが、無視する。 ルイズが、大きなハンマーを両手でぎこちなく構えているが、ワムウが見当たらない。 逃げたということは考えられない。周りは草原、隠れる場所などないし、 逃げるとしたら我々の軍の包囲に突っ込むことになる。もう少し言えば奴の性格からして ルイズを放って逃げる、というのは考えにくい。ルイズがワムウを連れて行くならともかく。 奴はなにか能力を隠していたのだろうか、透明になる能力、だろうか。 奴は風の流法を使うなどといっていた…確か透明になる魔法を水と風のスクウェアの一部が使った、 という話を聞いたことがある…水水水風、だっただろうか。 水蒸気を体にまとわせ、光を反射させることによってあたかもそこに人がいないように見せかける。 奴はメイジではないようだが、なにかおかしな能力を使う。そもそも人でない以上、先住魔法の 一つや二つ隠していても不思議ではない。ここは遍在を囮にして、様子を見てみるか・・・ ワルドは遍在を一体無防備に出す。 しかし教会の中に戻したもう一体の遍在が詠唱し続け、いつでも遍在の背中から攻撃をできるようにする。 「どうした、来ないのかね?ルイズ、ワムウ」 挑発してみるが、ルイズは杖を向けたまま動かず、ワムウも襲ってこない。 ルイズに魔法を放ってもいいが、正面から放つとなると尋常ではない速さで爆発が襲ってくる。 この距離で先に放てば、良くて相討ち、悪ければ無駄死にだろう。 さすがに遍在をここで意味もなく失うというのは少々辛くなってくる。 ならば、背後から攻め落としてやろう。 教会の上に本体を一体出す。 背後から奇襲するため、詠唱中でフライを使えないのは困る。 多少危険だが、教会の中に本体を放置しておくよりはマシだろう。 あの破壊力で透明なら数体犠牲にしなければ止められない。 教会に入ってきて1/3で自分がやられるってのは御免被りたい。 一発囮の遍在に軽く魔法を放たせ、その隙にフライで背後の木へ飛び移る。 上手くルイズの反撃をかわせたようだ、詠唱をさせる。 ワムウを殺せないのは少々後が怖いが、現在の目的はルイズごと手紙を奪う事だ。 ルイズを後ろから抱え、他の遍在のタトゥーにルイズごと移動すればいい。 おそらく、どこかにワムウが潜んでいるのだろうが、僕にスタンドならば逃げおおせることは容易。 意を決して、背後からルイズに飛び掛かる。 「闘技…『神砂嵐』!」 体がズタズタにされる。至る所の骨が折れる。腕が動かない。杖も振れない。 夥しい量の血が出てくる。足はピクリとも動かない。肩の筋が裂ける。 ワムウはルイズのすぐ近くに潜んでいた。 近くというか、目を疑った。ワムウは、ルイズの『中』に潜んでいた。 まだ生きているのは幸運だろうか、ワムウの剣が盾となったのか。 あれだけの威力の攻撃を受けたというのに、傷一つついていない。 ルイズとワムウが迫ってくる。 精神力を振り絞って、スタンドを発動させ、移動する。 ルイズは、ワムウを体の中に潜ませていた。 ワムウが吸血馬の中に潜んでいたように、モットの屋敷で衛士に潜んでいたように、 ルイズの体にワムウを潜ませていた。 「血が出るってことは、いきなり当たりみたいね」 ルイズ達は、ボロ雑巾のようになったワルドの本体に近づいていく。 後ろから雷撃が飛んでくるが、距離がありすぎた。苦もなくかわす。 視界をワルドに戻すと、ワルドは消えていた。 グリフォンが教会に突っ込み、ワルドの遍在が本体を抱え、逃げ出していく。 「どうやら、逃げられたみたいね」 「飛ばれてはどうにもならん、口惜しいが逃がすしかないな。だが、かなり強い者であった。 精神は戦士とはほど遠いが、雪辱戦で向かってくるときが待ち遠しいな」 「雷撃食らってフラフラになってるってのに、あんたらしいわね。足が痺れて『神砂嵐』が 放てない、っていうから体貸してあげたくらいなのに」 「まあいい、だいたい治った。とにかく正門に急ぐぞ」 「待って」 ルイズがウェールズの骸の横に座り込む。 ワムウも覗き込むと、ワムウの持っている指輪と虹を作る。 「…姫さまのために、持っていかせてもらいましょう」 ルイズは指輪を綺麗な指から引き抜き、手紙と一緒にしまいこんだ。 ギーシュは精神力が尽き、見よう見まねで倒れた味方の銃を撃っていた。 「やれやれ、まさか貴族だってのに銃を撃ち続ける羽目になるとはね」 正門の兵士も武器が尽き始め、もう敵は目前に迫っていた。 タバサとキュルケももうドットクラスの魔法すら散発的にしか撃てない。 ダービーはもうタダ同然で武器を売りさばいている。 「やれやれ、遅いぞワムウ君」 ギーシュが汗だくになりながら声をかける。 「シャチさんは?」 「けっこう前にパリーさんと一緒に港に行ったわ、なにやるのかしら」 「どうやって脱出するのよ」 「そこはもう考えてないわよ、シルフィードが飛び立てるようなそこの庭にでてったら 数十秒で蜂の巣ね、泥船だとわかってて乗り掛かったんだから諦めなさい」 死守するよう言われた橋に敵が一斉に雪崩込んでくる。 「橋は落とさないのか」 「私たちに言わないでよ、落とすのは待ってくれって言ってたし」 キュルケも首をかしげながら言う。 そのとき、ルイズが気づいた。 「ねえ、あの船、私たちが乗ってきた貨物船よね?」 斜め上を見ると、貨物船が進んでいる。 パリーとシャチも乗っている。 貴族派も気づいたのか、上空に向けて攻撃をし始め、貨物船が火を噴き始める。 「確か、硫黄を積んだままだったわよね、まさか…」 ルイズが感づく。 貨物船は火を噴きつつも、落下の勢いと出力を全開にし、どんどん加速していく。 「アルビオン王家の誇りよ、精神よ!永遠なれ!」 敵が雪崩込んできた橋に火の秘薬を積み込んだ貨物船が突っ込み、橋と貴族派の兵士が音を立てて 崩れ落ちていく。轟音をたてて貨物船は爆発した。 「シャチさん…」 ルイズが漏らす。 タバサが口笛を鳴らす。 「申し訳ないけど時間がない、脱出する」 シルフィードが城の中から這い出すように飛び、中庭に着陸する。 ルイズ、キュルケ、タバサ、ギーシュ、ダービーが乗り込むが、ワムウは乗り込まない。 ルイズはいいたい事を察する。 「ワムウ、これはアルビオン王家の戦いなの。それに私たち客人が水をさし続けるわけには いかないのよ、命を賭けて脱出の時間を作ってくれた彼らの意志を無駄にする気?」 ワムウは、銃を構えた貴族派の兵士に石をぶつけ、シルフィードに乗り込む。 一行は、ニューカッスル城を脱出した。 To Be Continued...
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よく分からない状況だが、とりあえずなんだか素晴らしくヤバイ気がした。 何故って人間が飛んだりする訳無いからだ。そりゃなんか飛びそうな奴らがイタリアにはいたけどさ! そこで私は行く宛もないが逃亡を試みた。が、やっぱり銀髪に捕まった。私を抱えると奴は先を行く小娘の後ろを歩き出した。 何処へ行くつもりだ。離せ!寄生してた分際で宿主に背くか! 私はもがいたが、所詮亀は亀だ。勝てる訳がなく、自分の力では奴から逃れられないのを悟った。 -何?役立たず独身銀髪眼帯男から逃げられない?逆に考えるんだ。『寝ちゃえ』と考えるんだ- …神の声に従い、抵抗するのを止め睡眠態勢に入りそのまま寝ることにした。よくよく考えてみれば、餌が食えればそれでよかろうなんだな……どうせ……今……やることも…………無い………しな………… 目を覚ますと何処かの部屋に連れて来られたようだった。ちょっと前、あのコロネやワキガ男達が暮らしていた部屋に似ている気もするが、やっぱり違う。 大体こんなベッドなんかなかったし。そのベッドの上に例の小娘が、椅子に奴が座っていた。 私が見るまでずっと話していたらしく、小娘は欠伸をした。どうやら眠くなったらしい。 …寝る?確かにベッドはある。しかし、この部屋には一つしかない。まさか恋人じゃないんだし一つのベッドに二人で、なんて事はないだろう。 かと言ってソファなんて物も無い。ということは…まさか… 私は奴を見た。奴はこっちを見ていた。こいつ、私の中で寝る気だ! -私にも拒否権があっても構わないはずだ。というか見返りをもらう資格があってもおかしく無いと思う。つーかよこせ。利用させてる私に感謝しろ。 しかしそのような声が届く訳無く、勝手に利用しやがった。この寄生虫が。 何か一悶着あった後、奴は私の中で熟睡しだしたが、小娘の方はベッドの中で震えていた。何かぶつぶつ言っているので近寄ってみる。 …詳しくは聞き取れなかったがどうやら何かあの役立たずに怒っているらしい。 しばらくすると小娘はそのまま寝てしまった。寝間着に着替えろよ、とつっこみつつ、私は床で寝る気になれないのでのそのそと動きだし、 小娘のベッドの上に載った。そこまで行くとまた睡魔が襲ってきたので、再度寝ることにした。 -別に私以外の誰かがどうなろうと知った事じゃあない。私は私の生活を営むだけだ。…ただ、感謝とかはされたいがな…。つかしろ。 うとうとしながら、そう考えた。 To Be Continued...